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ジム・フジーリ著『ペット・サウンズ』感想
PetSounds1


ジム・フジーリ著、村上春樹訳の『ペット・サウンズ』(新潮クレストブックス 1680円)をようやく読了したので、感想を記す。

一口で言うと、本書はジム・フジーリ氏による、主観を大いに交えた私的な"PET SOUNDS"評本である。決してデータ本ではない。データ的なことやエピソード的なことも書かれてはいるが、それらは既存の本やCDのライナー・ノーツなどから引用してまとめられたものが多く、新たに発見された事実などは特に書かれていない。
また、フジーリ氏はBBのファンではあるものの、熱狂的なフリークではないように思える。BEACH BOYSの他のアルバムや楽曲はもちろん、"PET SOUNDS"収録曲の一部に対しても、批判的な意見を述べている。なので、BBの全楽曲を全肯定してしまうようなマニアが読むと、あとがきで訳者の村上氏が表明している通り、納得できないものを感じるだろう。
なので、決して"PET SOUNDS"を聴いてない人には読んでもらいたくない。聴いてから読んでほしい。もしくは聴きながらでもいい。余計な先入観を与えるといけないからだ。これは山下達郎氏が"PET SOUNDS"国内盤ライナー・ノーツの冒頭で述べていることと同じ趣旨である。聴いている人が読めば、この意見には同意できる、あの意見には同意できない、などと分別を持って接することができるが、聴いていない人が読むと、批判的な意見を鵜呑みにして、いざアルバムを実際に聴く段階で、批判されている曲を先入観で飛ばしてしまう恐れがあるからだ。
村上春樹氏の訳文は、単なる右から左への訳文ではなく、作家性が表れている。曲によっては既存の公式な邦題を使わず、独自の邦題をつけているところにその一端が表れている。そういった訳者の個性を打ち出す方向性は、事実の正確さを要求されるデータ本とは決して相容れない。けれども、著者の主観が色濃く表れた評本であれば、それほど問題にならない。という点で、数多のBB本の中から村上氏が本書を翻訳に選んだのも、賢明な判断と思える。
この本に限らず、海外のみならず日本でも、BBやブライアンの音楽を文章に記すのに、著者自身の青年期における人生体験を絡める方が多いように思う。BBを語ると同時に、自分をも語っているのだ。それだけブライアンの生み出してきた音楽や詞が、青年期において大いに共感できる内容なのだろう、と感じる。
結論として、"PET SOUNDS"というアルバムのデータやエピソードを知りたければ、本書以上に、CDのライナー・ノーツや、キングズレイ・アボット著、雨海弘美訳の『ペット・サウンズ・ストーリー』(ストレンジ・デイズ刊 2,381円[税別])の方を読めば良い。しかし本書の価値は、なぜ"PET SOUNDS"というアルバムが人々の心を打つのか、という情緒的な心情を、一愛好家の立場で具体的に述べている点にあるだろう。
ページ数は全187ページと決して多くないので、集中すれば1~2日で読めるだろう。そのうち、村上春樹氏の思い入れたっぷりのあとがきが14ページもあり、ここから先に読んでも満腹感がある。

新潮社のホームページに、2005年5月末、本書『ペット・サウンズ』の原著刊行直後のジム・フジーリ氏へのインタヴューが掲載されているので、是非お読みいただきたい。
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2008-03-23 (Sun) | 記事URL | Beach Boys | COM(0) | TB(0) | 
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